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暁のコツコツ音
 

 最近、寝室を移動した。三男が自分の部屋をほしがるようになったからだ。仕方なくわれわれ夫婦は、一階の小部屋で寝ることになった。

 昨夜(というか今日なのだが)のことだ。明け方、そう午前4時ごろ、妙な音で目が覚めた。

「コツ、コツ、コツ、コツ……」

 規則正しい音だ。なんだか聞いたことがある。

 目を開けて音の方を見ると、うちの「娘」が歩いてくるではないか。白黒の毛皮を着た彼女は、しっぽを振りながら、耳を寝かせ(うれしいときにやる)私に向かってくる。四本の足にある爪が、床を蹴るたびにコツコツと音を出していたのだ。

 これまで二階で寝ていたため、こういう状況にならなかった。彼女は階段を上がれないからだ。でもこれからは、こういうことが頻繁に起きるんだろうなあ……と、妙に楽しくなった。明け方に起こされるのは、子供たちが赤ん坊のとき以来すっかりなくなっているが、今度は「娘」がそれをやってくれるようだ。

 彼女は、寝ぼけ眼の私に近づくと、クシュンとくしゃみをした。彼女の鼻汁が私の顔に飛ぶ。あ~、汚ねえなあ。じゃあ起きるか。と決断して身を起こそうとしたのだが、次に気づいたのは午前6時過ぎだった。

copyright : Masaru Inagaki(20040703)

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20世紀に書いたものもあり、かなり古い内容も含まれますが、以前のまま掲載しています。