Reading Page

 
イチオシ
平成サイケデリック「はれブタ」を見るべし!
稲垣 優

 サイケデリックという言葉を知って(あるいは覚えて)る? 若~い年代は「なあ~に~、それ」というだろうけど、ある程度の年齢以上なら、結構耳にこびりついてる言葉じゃないかな?

 この言葉の意味を言い出すと、なんだかんだと蘊蓄(うんちく)を傾けなくてはならなくなるし、だいたい私はそんな「うんちく」は持ち合わせていないからやめるね。広辞苑によれば「幻覚的」だそうです。だからまあ「へんなの」とか「どハデ」とか「精神的トリップしちゃいそう」とか、そんな程度の認識で話を進めましょう。

 突然サイケデリックなんて言葉を出したけど、別に、T-Rex(*1)の話をしようというわけでもないし、LSD(*2)の話をしようというわけでもない。ロックとか、ドラッグとか、そういう話じゃなくて、今回はアニメの話なのであります。

 もともと私は、結構アニメが好きで、子どものころは言うまでもなく、大人になっても見ていたりします。とはいえ、コスプレ(*3)が好きな訳じゃないし(笑)、ビデオを集めまくったりするわけでもない。ただ、映画とかテレビとか見るとき、なんとなくアニメを選んでしまうというわけであります。

 ひところ一世を風靡した「クレヨンしんちゃん」のアニメ版も、放映が始まると知ったとき私は“率先して”子どもに見せたものです。でまあ、うちのチビどもが例の生意気な子どもになったのは、いうまでもありませんが。

 「風邪の谷のナウシカ」も、映画館へ見に行ったクチです。当時、監督の宮崎はやお氏は、一般にはそれほど知られていない存在で、もちろん私もその名前は知りませんでした。でも(なんでかは忘れたけど)見にいったんだよねえ。まだ結婚する前だったなあ。カミさんと(*4)行ったんですよ。そしたら、映画館の中は子どもだらけ。やっぱ、アニメ映画っていうと「ドラえもん」とかそういうイメージがまだまだあってね。でも映画が始まって中盤になると、子どもより大人の方が真剣に見えてるのね。ラストシーンでは、目頭を押さえてる人もいてね。

 でまあ、そんなことはどーでもいいんだけど、なんでこんな話をするかというとですねえ~。

 実は、サイケデリックとアニメをなんとなく融合したような(もともとのサイケとはちょっと違うんだけど)アニメが放映されているんですよ。木曜日の午後7時から。テレビ愛知(*5)でやってる「はれ、ときどきブタ」ってアニメです。これ、私、かなり好きなんです。

 「はれ、ときどきブタ(以後「はれブタ」)」ってのは、もともとは児童文学の作品で、矢玉四郎って人が書いてて、本が出ています。劇場版アニメにもなった(*6)ので、もしかしたら見た人もいるかもね。で「はれブタ」では、主人公の「畠山のりやす」が「ウソ新聞」を作るんです。まあその前にいろいろあるけど、結局は作るのね。で、その中に「今日はブタの日です。ブタがたくさん出てきます」てなことを書く。すると、ウソ新聞の通りになって、街中がブタだらけになるって話。空にもブタが浮かぶわけで、だから「はれブタ」となるんですよね。

 本や劇場版アニメはこういう話で、結構面白いねって感じです。私の知り合いで、昔、小学校の先生をしていた女性は、この本の面白さを児童から教えてもらったとか。

 ところが、テレビ愛知の「はれブタ」は、ちょっと違う。原作と同じなのは、登場人物だけね。でもって、これがサイケデリックなのですよ。口や文章では、このすごさ、この面白さ、このくだらなさ、この荒唐無稽さは表現できないんだよね。だから、ぜひ見てもらいたいです。ビデオに撮ってでも見てね(っていっても、見たらつまらなかったなんていう人も出てくるだろうなあ。そんなときは、ごめんなさい)。

 サイケデリックという言葉を聞くと、T-Rexとか、原色バリバリのデザインを思い浮かべる昔の若人もいるかもしれないけど、このアニメはまさに、現代のサイケデリックだと思うんであります。百聞は一見にしかず。まずは見てみてね。でもって、思いっきりトリップして下さいませ。

 てことで、本日のイチオシは、テレビアニメの「はれ、ときどきブタ」。

 絶対見るべし!(*7)

※1998年4月から「はれブタ」の放送日が変わった。火曜日の午後6時30分から(テレビ愛知)だ。この変更は、どうやらそれまで中断していた「ポケモン」が再開するためらしい。(1998.4.14記)

 

*1)T-Rex=この人たちのロックはサイケデリックだといわれたもんです。

*2)LSD=幻覚剤っていえばいいのかな? これを使って見える幻覚がサイケデリックだとか……。ただし違法だからね。それに体こわすからね。やめましょう。

*3)コスプレ=コスチューム・プレー=マンガの主人公などに扮して遊ぶこと。

*4)カミさん=そのときはまだカミさんじゃなかったけどね。

*5)テレビ愛知=キー局はテレビ東京。ほかの地域ではやってないところもあるだろうなあ。

*6)劇場版「はれブタ」=もうずいぶん昔に映画化されてる。きっとビデオ屋にあるけど、こっちは全く原作通り。

*7)見るべし=ちなみにうちのカミさんは、毎回見ながら「あんな話が考えられるなんて、どういう頭だろう」と感心しております。

copyright : Masaru Inagaki(1998.3.26)

読みもののページ

ショートストーリーを中心に、しょーもないコラム、Mac系コンピューター関連の思いつきつぶやきなど、さまざまな「読み物」を掲載しています。
20世紀に書いたものもあり、かなり古い内容も含まれますが、以前のまま掲載しています。